You’ll Never Walk Alone、そのルーツ

2018-02-13

2月11日、日曜日。行ってまいりました。ヨコハマフットボール映画祭。
You’ll Never Walk Aloneの映画、知らなかった事が結構ありました。
中でも印象的だったのが、You’ll Never Walk Aloneがクラブのアンセムとなるまでの経緯。
思った以上に紆余曲折を経てました。
そこで、You’ll Never Walk Alone、そのルーツ。非常に簡単にではありますが、まとめてみました。

戯曲『リリオム』

ハンガリー出身のユダヤ人作家モルナール・フェレンツ作。
20世紀初頭にヨーロッパで人気を集め、アメリカ、日本でも上演されています。

フェレンツの代表作との呼び声も高くミュージカルや、映画、バレエ等、様々な形にリメイクされ、日本では森鴎外が翻訳小説を執筆。宝塚歌劇団でも上演されています。
21世紀に入ってもその人気は健在。今なお、様々な舞台で見る事が出来ます。

1939年、第二次世界大戦が勃発すると、フィレンツはナチスによるユダヤ人迫害を逃れ、アメリカへと移住します。

ミュージカル『回転木馬』

アメリカに渡ったフィレンツにリリオムのミュージカル化の話が持ち掛けられます。
リチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン2世によって、リリオムが回転木馬へと生まれかわり、その劇中歌として書かれたのが『Yuo’ll Never Walk Alone』。

好評を博した回転木馬は映画にもリメイクされ、世界中に広がります。

ジェリー&ザ・ペースメイカーズ(Gerry and the Pacemakers)

映画となった回転木馬は海を越え、イギリスでも上映されます。それをたまたま目にしたのがリヴァプールのバンド、ジェリー&ザ・ペースメイカーズの中心人物、ジェリー・マースデン。

劇中に流れるYou’ll Never Walk Aloneを痛く気に入ったジェリーは、シングル曲として録音する事を持ちかけますが、ジェリー&ザ・ペースメイカーズはロックバンドとして売り出し中だったため、レコード会社は難色を示します。
しかしジェリーの熱意に押し切られる形で1963年、シングルとしてリリース。するとこれが大ヒット。

アンフィールドでは当時のヒットチャートがかかっていたため、You’ll Never Walk Aloneも流されます。
地元出身のバンドという事もあってか、KOP達の間で大ウケ。
やがてブームは去りますが、それでもKOP達はYou’ll Never Walk Aloneを求め、そして声を揃え歌うようになります。これが今から50年以上も前の話。

初めてアンフィールドで流れた時は、単に一つの流行歌でした。それがクラブのアンセムとなり、やがてはクラブの精神を象徴する合言葉としての意味合いすら帯びていく。

元はミュージカルの劇中歌。歌っているのはジェリー&ザ・ペースメイカーズという事は知っていましたが、ここまで複雑な経緯があったとは。
決して意図されたものではなく、多くの偶然が重なり、ここまで重要な存在となったという事に歴史の重みを感じますね。

You’ll Never Walk Alone

改めて素晴らしい言葉です。

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