【読書感想文】ジェラード自伝 その15

投稿者: | 2017-09-29

マンチェスター・ユナイテッド戦での踏みつけにより出場停止処分中のジェラード。
シーズンは終盤に差し掛かりリヴァプールの選手でいられるのも残り僅か。
試合に出られない間、悲しみと復帰後に起こるかもしれないドラマへの期待とで落ち着かない気分。
一方、クラブは全く別の問題で落ち着かない日々を送っていました。

CHAPTER 15 夢を見る

ラヒーム・スターリングの移籍騒動。

お前かよ!
全16章のジェラード自伝。クライマックスに向かおうかという、このタイミングででてくるかね。このクソガキゃあ。

ジェラードはスターリングに控えめながらもアドバイスを送りますが効果は薄く、スターリングがインタビューで語った言葉が物議を醸し、事態は確実に移籍へと向かっていきます。

若い選手が移籍を急ぎすぎる事に警鐘を鳴らすジェラード。
「現代サッカーは金まみれ」「代理人がせっつく」。

この「代理人がせっつく」という部分で思い出した事があります。今夏、大騒ぎになったフェリペ・コウチーニョの移籍問題。
どうも代理人や、バルサ側の人間に色々吹き込まれていた気配がありますね。

スターリングは結局、強欲代理人の意のままに移籍してしまう分ですが、アイツはまあいいや。
コウチには周囲の思惑に惑わされず、冷静に自分のキャリアを考えてもらいたいですね。

クラブの喧騒から離れたところで、ジェラードはこの頃から指導者としての勉強を始めていたようです。
そしてその仕事にやりがいも見出し、将来的にはリヴァプールの監督となるという希望を強く持つ様になった。

アメリカでのプレーを終えた後は、ロジャースの下に付いて学ぶ事を希望していたようですが、ロジャースが解任されたため、それは叶いませんでした。しかしモウリーニョや、ヴェンゲル、さらにはグアルディオラといった監督の話を聞いてみたいと言っているくらいだし、そこにロジャースも加わる事でしょう。

そして今のリヴァプールにはユルゲン・クロップという素晴らしい監督がいますね。
アンダーカテゴリーで指導者のキャリアをスタートさせたジェラード。クロップも全面的なサポートを約束しています。
きっとクロップから多くの事を学べるでしょうね。

監督としての夢の語る中で、共に仕事をしたい人間として二人の選手の名を挙げています。
シャビ・アロンソとジェイミー・キャラガー。

それはファンにとっても夢のような話ですね。最高の戦友二人。しかも二人とも指導者としての資質も持ち合わせていいるように思えます。
なんだかゼリコ・ブバチ、ペーター・クラヴィッツというクロップが絶対的な信頼を寄せる二人の仲間にも通ずる部分がある気がします。

知的で冷静なアロンソがブバチ。鋭い分析に定評があるキャラガーがクラヴィッツ。この二人が熱くチームを鼓舞するジェラードを支える、是非とも見たい光景です。キャラガーがジェラード以上に熱くなっちゃいそうですが。

他にもディルク・カイト、サミ・ヒーピア、ダニエル・アッガー、ルーカス・レイヴァなどなど、何らかの形でクラブに関わって欲しい選手は大勢いますね。

リヴァプールを去る前にも勉強の一貫として、U-16のチームの指導を行った事もあるようです。
そこで際立っていた選手として挙げていた名前を見て、驚きました。

トレント・アーノルド。

そう今やトップチームの主力として定着し、ファンの期待を一心に集めているトレント・アレクサンダー=アーノルドです。
この自伝が発売された頃は、まだアーノルドはトップチームデビュー前。特に気にせず読んでいましたが、今読み返して、この名前を見つけた時は鳥肌が立ちました。
これはもう一人、際立っていた選手として名前を挙げているハービー・ケインも覚えておく必要があるかもしれません。
アーノルド、ケイン。スターリングみたいになるなよ~。

10代の少年たちと交流しながら、間近に迫ったFAカップの試合に思いを馳せるジェラード。
そしてその思いは少年たちが10歳になってみなかった2006年のある試合へと繋がっていきます。

FAカップ決勝。ウエスト・ハム戦。かの有名なジェラードファイナルですね。
ジェラードのスパイクには長女、そして生まれたばかりの次女の名前。この二人のために2点取る。

この願いが現実となり、2得点。勝利の立役者となり、伝説となった。リヴァプール史上屈指のドラマチックな試合。裏側にもこんなドラマがあったんですね。
そして試合後にもドラマが。祝賀パーティーで、ラファエル・ベニテス監督のテーブルへと向かうジェラード。いつも通り感情を表に出さないベニテス。優勝の立役者に対する賞賛は無く、その口から出てきたのはシーズン全体を通しての出来に対する小言。そして来シーズンの事。その顔にはうっすらと笑みが。
この時、ジェラードはベニテスに愛おしささえ覚えたと語っています。根っこの部分は同じなのかも知れないとも。
この自伝の中で、ベニテスの事を終始、冷たいだなんだと言いたい放題だったジェラード。しかし馴れ合いはなくとも、深いところで繋がっていたのかもしれませんね。共に高みを目指す同志。それがベニテスなのかもしれません。

キャプテンとして迎える最後のヒルズボロの悲劇の式典を終え、臨んだFAカップ準決勝はアストン・ヴィラの敗北。リヴァプール最後の試合を自らの誕生日、決勝戦で迎えるという夢は潰えました。

更に悲しい出来事は続きます。長年のライバルであり、代表では10年以上の間、共に戦ってきたリオ・ファーディナンドの奥さんが乳癌で死去。最後のチェルシー戦では、スリップを茶化すチャントがチェルシーファン達によって歌われる。ジェラードの得点、チェルシーファンの少しの敬意、モウリーニョの最大限の敬意など、良い出来事もありましたが、ヒルズボロの式典以降、悲しい事ばかりが続きます。そして最大限に悲しい事がもうすぐ・・・

いよいよ次が最終章。ジェラードがリヴァプールを去る日がやってきます。

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