ついにこの時が来てしまいました。
在籍年数10年、チーム最古参のルーカス・レイヴァがリヴァプールを去る時。
リヴァプールを愛し、リヴァプールに愛された男との別れ。
ルーカス本人や仲間達の言葉を紹介すると共に、僕なりの感謝とお別れの言葉を綴りたいと思います。
10年
遠くブラジルからやってきた20歳の青年。言葉も文化も、なにもかもが異なるイングランドでの生活は戸惑う事ばかりだった事でしょう。
ピッチでも期待されていた働きが出来ず、批判も浴びました。
それでも腐る事無く努力を続け、プレースタイルを変えながら、やがてチームにとって欠く事の出来ない選手へと成長していく。
ブラジル代表に選ばれた事もありました。
しかし、またしても試練が。大きな怪我によって離脱。
選手として最も充実した期間の多くを、リハビリに費やす事になってしまいます。
しかし不屈の精神力で復活。タックルマスターとして大いに貢献してくれましたね。
ここ数年はベンチを温める機会が多く、移籍市場が開く度に、放出候補として名前が挙げられていました。選手としてはフラストレーションの溜まる状況だったとは思いますが、どんな時も準備を怠らず、怪我人等で、急遽出番が回って来たときでも、キッチリと仕事する本当に頼もしい存在でした。プロの鏡ですね。
時にはキャプテンマークを巻く事もありました。
彼の頼もしさはピッチの中だけには留まりませんでした。
新加入の選手が、早くチームに馴染めるよう常に気に掛けていたようです。
特にラテン系の選手達はルーカスに相当世話になっていたようですね。
コウチーニョはリヴァプールにやってきた当初、ルーカスの存在が本当に大きかったと感謝の言葉を口にしています。
英語が苦手なモレノは、ルーカスに通訳をしてもらっているようです。
また自身の辛い経験を踏まえての事でしょう。負傷して試合に出られない選手にも積極的に声をかけていたようです。
長期離脱を余儀なくされたイングスとゴメスを激励する、ルーカスのインスタグラム。
SNSだけではなく、メルウッドでのリハビリを手伝いに行ったりもしていたようです。
カップ戦でキャプテンマークを巻いたルーカスと、彼への感謝を口にしていたゴメスがCBコンビを組んだ時は感慨深いものがありました。
ルーカスの心遣い。世話になった選手は、その思いを受け継いで、他の選手の力になっていってくれることでしょう。
ルーカスは一つの素晴らしい伝統を残してくれたのかもしれません。
20歳から30歳までの10年。選手としてだけではなく、一人の人間としても色々な事がありました。
リヴァプールで結婚し、子供も二人生まれました。
チームメイト以外にも多くの友人に恵まれた事でしょう。
ブラジル出身にも関わらず、スカウサーと呼ばれるほどに街に馴染んでいますね。
選手として人間として、大きな大きな10年を過ごした街、リヴァプール。第二の故郷とはまさにこの事ですね。
いつでも帰ってきて下さい。遠く日本からですが、待っています。
ルーカスからのメッセージ
クラブの公式動画や、自身のSNSでお別れの言葉が公開されています。
リヴァプールの公式Facebookページ日本語版では和訳を見る事ができます。
リヴァプールを「僕の人生」と言い切ってます。戻ってくる気満々ですね。移籍先のセリエAは、プレミア・リーグに比べたら日程緩そうだし、試合観に来たりしてくれるかな?
多分、すぐに会えるけど、もっと長期的な意味でも戻って来て欲しい。
将来的には指導者として。ジェラードやキャラガーと一緒に、新たな黄金時代を築いていってほしいですね。
仲間からのメッセージ
チームメイトから信頼が絶大なルーカス。この移籍に際し、多くのメッセージが寄せれれています。
ジェラード
"I just smile when I think of Lucas." 🔴
Stevie's admiration: https://t.co/1irXVsGVVZ pic.twitter.com/bxkROHIvhd
— Liverpool FC (@LFC) 2017年7月20日
クロップ
"He set the standards of what it is to be a Liverpool player."
Jürgen Klopp's tribute to @LucasLeiva87: https://t.co/pHSiORF19z pic.twitter.com/Ud1A6NsW89
— Liverpool FC (@LFC) 2017年7月19日
アッガー
ララーナ
ワイナルドゥム
ロヴレン
ゴメス
オジョ
フィルミーノ
コウチーニョ
ミニョレ
ヘンダーソン
カリウス
All the best in Rome @LucasLeiva87 ! It was a real pleasure to spend a year with you at @LFC #YNWA
— Loris Karius (@LorisKarius) 2017年7月19日
キャラガー
Good luck @LucasLeiva87 you've been a great servant to @LFC now do the same at Lazio! #Unluckeeee https://t.co/WwrOR4V0Uq
— Jamie Carragher (@Carra23) 2017年7月17日
本当に年齢、国籍、ポジション問わず大勢の仲間からメッセージが寄せれています。
ひとえにルーカスの人徳ですね。
そして極めつけはこれ。
香港にいる選手達からルーカスへの、動画メッセージ。
The #LFC squad say their goodbyes to @LucasLeiva87 from Hong Kong.#ThanksLucas pic.twitter.com/9mQ20ip21t
— Liverpool FC (@LFC) 2017年7月18日
こんな事ってある!?
こんなの初めて見た。移籍する選手を、ここまで温かく送り出せるクラブ。
本当にリヴァプールのファンでよかった。
このメッセージも公式Facebookページ日本語版で和訳を見る事ができます。
喋ってない選手達も顔見てると、色んな思いがこみ上げてくる。
辛いリハビリを経験したフラノ、一年目苦しんだロヴレンは、色々声掛けてもらったんだろうな。
グルイッチはあんまり付き合い長くないけど、心なしかウルウルしてる。心細い時に優しくして貰えたのかな。
クラヴァン、唇嚙んでる。年近いし、結構一緒にやってたし寂しいだろうな。
サラーはほんの数日だったけど、ルーカスの人柄に触れる事出来たかな。このクラブどうよ?
皆の表情を見ていると、ルーカスがしてきた事の偉大さが分かりますね。というか、こうした素晴らしいお別れが出来るチームになれた事自体が、ルーカスの功績なのかもしれません。
本当にありがとう。
You’ll Never Walk Alone
リヴァプールファンにとって唯一無二の大切なこの言葉。
ちょっと話はそれますが、日本語ではよく「君はひとりじゃない」と訳されますね。
これ、間違いじゃないけど、ちょっと足りないと思うんです。
「君はひとりじゃない」だと今、この瞬間だけの事だけど、「You’ll Never Walk Alone」には、これからもどんな時もずっと、という意味合いがあると思うんです。
10年間ずっと、リヴァプールを愛し続けたルーカス。これからもその思いは変わらないでしょう。
そしてファンも決して彼の事を忘れない。
だからこそ万感の思いを込めて、この言葉を。
ありがとう。
ブラジル生まれのスカウサー。
ルーカス・レイヴァ。
You’ll Never Walk Alone