袖の「RESPECT(リスペクト)」

2017-12-04

ユニフォームの袖に付いているパッチ。
リーグ戦であれば、右肩にプレミアのライオンのエンブレム、左肩にはスポンサーのウエスタンユニオン社のロゴ。
チャンピオンズリーグでは、右肩に星を象った公式球のロゴ。左肩にはリヴァプールが欧州王者に5度輝いた事を示す、ビッグイヤーのシンボルに「5」の文字。これは限られたクラブにしか付ける事が許されない、非常に特別なものですね。
そしてもう一つ。その下にも特別な意味を持つパッチが付けられています。

「RESPECT(リスペクト)」

リスペクト。
意外と意味を知らない人も多いのではないでしょうか。僕は今シーズン、CLのパッチ付きのユニフォームを注文するまで知りませんでした。

これは人種差別に反対し、お互いに敬意を持ってプレーするという意味の「RESPECT(リスペクト)」で、UEFA主催の試合であれば代表でもこのパッチをつけています。

サッカー界における人種差別・・・
根深い問題ですね。日本でも度々、取り沙汰されています。リヴァプール関連ではマリオ・バロテッリなどはかなり辛い思いをしてきているようだし、ルイス・スアレスは騒動の当事者となった事もありました。
来るロシアワールドカップでも、観客から差別的な言動が発せられるのではないかという危惧が大きいようです。

決して他人事ではありませんね。そしてもう一つ、リヴァプールファンだからこそ、このパッチの意味を知っておくべきだと思う理由があります。

リヴァプールと奴隷貿易

17世紀、それまでは小さな漁村だったリヴァプールはヨーロッパ、アフリカ、アメリカを結ぶ三角貿易の拠点として急速に発展を遂げます。
欧州屈指の海商都市となったリヴァプール。その主力商品、それは奴隷でした。
アフリカから連れてきた奴隷を、アメリカへと売る事によって、莫大な利益を得ていたのです。
そしてそこで富を得た商人たちの投資によって産業革命が起こり、イギリスという国家がさらなる発展を遂げていくのです。

つまりリヴァプールは、今なお続く人種差別の始まりに大きく関与してしまっているという事です。

サディオ・マネの故郷、セネガルからも多くの奴隷が連れて来られていて、奴隷輸出の拠点だったセネガルのゴレ島と同じ地名が今もリヴァプールに残っています。またリヴァプール市内には国際奴隷博物館という施設もあり、残酷な歴史を伝えています。

遠い異国からではありますが、リヴァプールFCというクラブを応援している以上、ホームタウンの負の部分を知るという事も大切かもしれません。

さて、今週はチャンピオンズリーグの試合があり、選手達は「RESPECT」パッチのついたユニフォームに袖を通します。お互いが尊重し合った素晴らしい試合となりますよう。
そして勝利を!

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