【読書感想文】ジェラード自伝 その13

2017-08-08

フロントとの契約延長の話で納得いくような答えが出ず、残り少ないキャリアをどう使うか考えた結果、クラブを離れる決心を固めたジェラード。しかし心は常にリヴァプールと共に。
幼い頃の観戦や、全盛期の栄光。いくつもの思い出が浮かんでは消えていきます。
しかし追憶は決して楽しいものばかりではなく、アスリートとしての辛さも多分に含んでいました。

CHAPTER 13 怪我との戦い

初めてアンフィールドに連れて行ってもらった時の記憶。6歳半のジェラード。スタンドを埋め尽くす真っ赤なKOP達。壮観だったことでしょうね。

選手になって、その光景を毎週のようにピッチから眺めるようになっても、常に鮮やかなものとして映っていたようです。
2004年のチャンピオンズリーグ、オリンピアコス戦。
あの伝説の試合ですね。
いつものように真っ赤なKOP達に送り出されピッチに立つジェラード。勝たねばグループステージ敗退が決まる大切な試合。

先制されるも、追いつき、勝ち越し、そして決勝トーナメント進出にはあと1点必要。少なくなっていく残り時間。
結末は知っている訳ですが、当事者が当時の心境を交えながら、試合の推移を語るとなると、いやが上にも手に汗握ります。

そして今なお語り継がれるジェラードの弾丸ミドル。

あの弾道。

ボールがゴールネットに突き刺さり、KOP達の待つスタンドに飛び込むジェラード。

そこにいた全てのKOP達にとって、一生忘れる事が出来ない鮮烈な光景でしょう。6歳半のジェラードが見た初めてのアンフィールドのように。

それから10年後。久しぶりにチャンピオンズリーグの舞台に帰ってきたリヴァプール。
勝てばグループステージ突破が決まるバーゼルとの一戦。
誰もがオリンピアコス戦の再現を期待した試合ですね。

先制され、さらに退場者を出し苦しい状況のリヴァプール。しかしジェラードのフリーキックが決まり同点。
あと1点取れば、グループステージ突破。

確信しましたよ。これは再び奇跡が起きる!と。
しかし・・・
現実はそう甘くはありませんでしたね。
時間は無情に過ぎ、タイムアップ。敗退が決まりました。

不振が続くリーグ戦。なんとかCLに光明を見出したいところでしたが、残念な結果に。

しかしCL敗退なんて、あの日の絶望に比べれば些細な事でしたね。
ついにやってきてしまいました。ジェラードの退団表明。

サッカー界を揺るがす大事件。
ファンにとっては夢が終わった日。
ジェラードがプレミアリーグを制する姿を見る事は無い。

ジェラードも当時を回想し、感極まっていたと語っていますが、文章はどこか淡々とした印象。吹っ切れたというヤツでしょうか。
戦いはまだ終わっていません。シーズン終了まで、リヴァプールのために全力尽くすと誓うジェラード。

そして本人にとっても、ファンにとっても最後の夢となる、舞台が見え始めます。
FAカップ決勝戦はジェラードの誕生日。そこでタイトルを獲得出来たなら最高の花道ですね。

チームもファンも、その最高の舞台に向け、気持ちは一つ!・・・のはずでしたが、ジェラードが負傷で離脱。
暗雲が立ち込めます。

気持ちが沈むジェラード。
そこから選手生命の危機ともいえるよな二度の大きな怪我へと、回想は繋がり暗い雰囲気のまま、この章は終わります。
怪我とはアスリートにとって非常に辛いもの。ジェラードも苦しかったことでしょう。
しかしオリンピアコス戦と退団発表という、あまりに大きな出来事を立て続けに思い出さされた後では、ほとんど頭に入って来ない。
最大級の歓喜と絶望が同時に訪れる。慌しい章でした。

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